ポイント
・STマークは、「Safety Toy(安全玩具)」の略
・管理しているのは、一般社団法人 日本玩具協会
・日本玩具協会の「登録商標」
・玩具安全基準をクリアしないと使用できない
・事故の際の賠償補償制度を設けている
STマークの歴史
まず、流れとして1969年に、通商産業省(現:経済産業省)に各界の専門家からなる玩具安全対策委員会が設置されたことに端を発します。
そこで「第三者の参加する自主規制により安全対策を進めるのが適当である」という答申が翌々年にまとめられ、日本玩具協会による「おもちゃの安全基準」制定へと繋がります。
社団法人 日本玩具協会が実施する自主的な玩具安全対策事業として、ST基準やSTマーク制度がスタートしたのは1971年です。
ただ、玩具賠償責任補償共済制度のスタートは1974年と、少し遅くなります。
その後、1987年にST合格番号とJANコードを統合、2009年にST検索サイトが公開されています。
ST合格番号とJANコードを統合というのは、マークとコードを一体表示するという原則のこと。あくまで原則なので、分割表示やSTマーク部分のみの表示も場合によっては可能となっています。
なお、STの右側にある数字は、申請時の西暦下二桁です。
「Safety Toy(安全玩具)」の安全基準は、ISO等の国際基準を採り入れ、改定されています。
ST基準
日本玩具協会が指定した検査機関で検査が実施され、「ST基準(玩具安全基準)」に適合していると認定されて初めて、STマークの使用が許されます。
基準には物理的安全性、可燃安全性、化学的安全性といった項目があります。
物理的安全性とは「誤飲」「窒息」「縊死(くびをくくって死ぬこと)」「切り傷」「刺し傷」「挟み傷」の防止対策。
可燃安全性は、「焼死」「火傷」の防止。化学的安全性は「健康被害」に関する防止が焦点になります。
その基準は食品衛生法より厳格か、同等となっているようです。
他国の玩具規制の例としては、EUの自己認証マークである「CEマーク」や、アメリカの「ASTM」表示がありますが、どちらも第三者機関による検査の義務付けはありません。
検査機関は、日本文化用品安全試験所、科学技術戦略推進機構など。
事故の場合の補償
STマーク付きの玩具で事故が起こった場合の補償が設けられています。
これはSTマーク使用許諾契約を締結する事業者に対するものなので、玩具の購入者にとっては直接的な関係はありません。
とはいえ、STマークの契約をした玩具メーカーが被害者に支払った損害賠償金や訴訟費用に対して、共済金を支払う制度なので間接的には関係があります。
補償額は対人1人1億円、対物2,000万円、見舞金10万円を設定しているので、被害者に賠償金を支払いやすくなっていると言えるでしょう。
1995年の「製造物責任法(PL法)」の施行にあわせ、従来からの玩具賠償責任補償共済に「生産物賠償責任保険(PL保険)」を組み合わせています。
マークの使用許諾契約手数料は、契約する企業の規模によります。玩具賠償責任補償共済掛金は、先の手数料と同額で支払いは3年間のみ。玩具製造物責任補償共済掛金は、STマーク付き玩具の契約時における年間販売見込額によります。
製造物責任法は、製造した物に対する法です。
「製造又は加工された動産」と定義されていますので、不動産や電気、ソフトウェアなどは該当しません。
そういうこともあり、STマーク付きの玩具であっても、玩具と連携しているスマホのアプリには適用されないので注意。
STマーク付き玩具
STマーク付き玩具には、13桁のST合格番号が付いています。
この番号で商品検索することが可能です。なお、検索できるのは2008年10月以降に申請があった合格商品に限られます。
⇒「ST検索サイト」
対象年齢
玩具安全基準は、対象年齢が14才までの子供用玩具に適用されます。
逆に言えば、対象年齢が15才以上となっているのは、先の基準に当てはまらないから、もしくは大人向けのホビー商品になります。
詳細は「玩具安全基準書(ST-2016)」に書かれているようですが、非会員価格は27,000円と興味本位で買える額ではありません。
ST表示ガイドライン集のみなら2,000円です。
気になるのは、児童と呼ぶべき年齢の対象商品だと思います。
こちらの対象年齢は、玩具の種類によって大まかな分類がされています。以下は、大体の目安です。
0才以上:ガラガラ、おしゃぶり、メリーゴーランド
7ヶ月以上:押し車、ゼンマイ動物&車
1才以上:積み木
2才以上:砂遊び、水遊び、三輪車、折り紙、ブロック
3才以上:楽器、人形、ままごと、なわとび、自転車
4才以上:かるた、おはじき
5才以上:野球、卓球、バドミントンなどスポーツ類
6才以上:模型、トランプ、ボードゲーム類、カメラ、ラジコン
⇒「子どもの発育段階において与えるに相応しいとされる玩具の年齢別、種類別対応表」
もちろん、子どもの性格や能力による差はあります。
注意表示マーク
STマーク付き玩具には、絵記号による以下の注意表示マークが付いています。
「くちにいれない」
「みずにぬらさない」
「ひにちかづけない」
「ひとにむけない」
「まきつけない」
「うえにのらない」
「おとなといっしょ」
その他のマーク
目や耳の不自由な子どもたちも一緒に楽しめる玩具を「共遊玩具」と言い、その推進活動も日本玩具協会は行っています。
盲導犬マーク……目が不自由な人向けに、手触りや音等の配慮がある玩具
うさぎマーク……耳が不自由な人向けに、視覚などの音以外の要素で音が出ていることが確認できる玩具