5行で解説するサイト

ごぎょう

並行輸入品とは|安い理由と正規品との違い

ポイント

並行輸入品≠偽物
日本より定価が安い国で仕入れれば、国内定価を下回れる
海外向けの商品なので、説明書が日本語じゃないことも
正規代理店のようなアフターサービスが受けられない場合がある
並行輸入なら国内未入荷モデルを手に入れられる

並行輸入品とは

言ってしまえば、「ブランド品は海外旅行で買ったほうが安い」と同じ。

海外で買った方が安い場合があるのは、第一に商品の定価が日本より安いこと。
第二に、旅行者が免税されるからです。免税に関しては後述。

国によって定価が違う

国によって物価は違いますし、商品の販売にかかるコストも違います。
例えば、販売している場所のテナント料、スタッフの給与、アフターサービスのための費用、広告費といったコストは国によって異なるでしょう。
儲けを出すなら、それを加味した定価にする必要があります。無論、その国の人が買える値段であることも重要。

並行輸入における費用イメージ

そうなると、商品になるまでの過程は同じでも、国によって価格差が生じるわけです。
その国で売れることが第一なので、まったく同名の商品でも、販売する国によってはマイナーチェンジが施されることもあります。
例を挙げれば、ゴルフクラブのシャフト。USAモデルは日本モデルより硬く、重いと言われています。体格差を考えると、そういったローカライズ的なことは必要でしょう。

国内未入荷モデル

その極めつけは、海外限定モデルと言えなくもないです。
日本未発売モデル、国内未入荷モデルというのは、こういった海外の正規店でしか販売していない商品になります。
こういったアイテムを手に入れるには、並行輸入品を買うことになります。
当然ながら、日本に正規代理店を置いていないブランドの商品は、並行輸入で買うほかありません。

この辺の違いを理解せずに購入し、国内の正規代理店で買った物と比較して、「偽物だ」と騒ぐ人もいます。
まぁ、中には並行輸入品と称し、コピー品を売ってる業者もいるかもしれませんが……。
そういった迷惑な業者と一線を画すため、「一般社団法人 日本流通自主管理協会(AACD)」のような団体があるでしょう。

仕入れ先の違い

販売ルートで並行輸入品を説明すると、次の通り。
海外ブランド → 海外正規代理店など → 並行輸入業者 → 消費者

正規代理店ルートは、次の通り。
海外ブランド → 国内正規代理店 → 消費者

並行輸入品の仕入れ先は海外正規代理店のほかに、海外の直営店や免税店、先の場所で仕入れた国内の卸業者があります。
ルートを見ての通り、国内の正規代理店で買うか、海外の正規代理店で買うかの違いなので、並行輸入品は偽物ではなく本物となります。同じ本物を買うのであれば、購入先は問わないというのでしたら、ご検討されてみてもいいでしょう。

国内の卸業者に興味がある人は、株式会社ドウシシャや株式会社ウエニ貿易で検索してみてください。仕入れ先として書いている並行輸入店があります。

上記は海外ブランドの話ですが、国産ブランドにも似たような販売経路があり、逆輸入品と表記されています。おそらく、カシオやセイコーの時計などが、目につきやすいことでしょう。

Japan. Tax-free Shop

免税

文字通り、税金を免除すること。
関税の免除を意味する「DUTY FREE」と、消費税を免除する「TAX FREE」があります。
関税を免除できるのは空港や一部の店舗に限られるので、大半の店舗は消費税の免除と言っていいでしょう。
日本だったら、「Japan. Tax-free Shop」と書かれた桜の花のマークが免税店の目印。
免税の対象となるのは「非居住者」ですが、日本に入国後6ヶ月以上経過するとダメだったり、逆に日本人でも免税の対象となるケースもあったりします。

関税

輸入品に対して課される税金のこと。
わかりやすい実施意図としては、国内産業の保護があります。安い海外製品が市場に溢れれば、同じ製品を作ってる国内メーカーは大打撃です。すべての国内メーカーが潰れてしまっては、その製品は海外からの輸入に依存することになり、価格を釣りあげられても買うしかなくなるでしょう。だから、輸入品の値を上げて保護するのです。
個人輸入の税関手続きに関しては、「税関」のサイトをご参照ください。通販サイトを利用して、海外から取り寄せるのも個人輸入扱いのはず。目安となる金額は、16,666円です。理由は次項で。。
余談ですが、関税が輸出品に課される場合もあります。貴重な鉱物資源などが対象です。

16,666円

関税定率法の第14条18項には、『課税価格の合計額が一万円以下の物品(本邦の産業に対する影響その他の事情を勘案してこの号の規定を適用することを適当としない物品として政令で定めるものを除く。)』とあります。
ここで言う課税価格は、海外の小売価格に0.6をかけた額になります。課税価格の合計額が一万円以下の物品は免税なので、0.6をかけても一万円以下に収まる最大値である16,666円が目安となるのです。
16,666円は、0.6をかけても9999.6円ですからね。
もちろん、関税定率法の一文にある通り、適用されないケースもあります。適用は個人使用目的で輸入するものに限られますので、商用目的や数が多い場合は除外されます。化粧品の個人輸入で1品目24個までと書かれているのも、その絡みです。

歴史

日本における並行輸入品の扱いが変わったのは、1970年のパーカー万年筆事件と言われています。
大阪地裁が、「パーカー社によって製造され、海外で販売された万年筆を輸入販売するのは、商標の専用使用権を侵害するものではない」としました。
端的に言えば、海外で販売された本物を代理店以外が輸入するのは、国内の正規代理店の権利侵害にならない。つまり、実質的な違法性が無いとしたのです。
これを受け、翌々年には大蔵省から税関に同じ内容の通達が出されています。

現在の見解は、経済産業省の「商標権にかかる並行輸入」をご確認ください。

あくまで、これは日本における話です。
ロシアのように、並行輸入を認めないスタンスの国もありますと書きたかったのですが、ちょっと流れが変わってきているようです。

→「連邦憲法裁判決をきっかけに並行輸入問題が再燃(ロシア)

注意点

並行輸入品を買う際、幾つか気を付けることがあります。

注意ポイント

メーカーのアフターサービスが受けられない可能性
説明書が日本語じゃない
タグが削られている場合がある
薬事法が絡むと面倒

保証書とアフターサービス

まず、並行輸入品として売るには、出荷された国で「販売済み」という事実が必要です。
でなければ、その国で販売することを前提に、定価を設定した意味がありません。正規代理店が定価販売を義務付けられているのは、こういった事情もあります。

でも、一度でも誰かが購入し、「販売済み」になったのなら、定価云々は過去の話。
購入という形で仕入れられた商品が、別の国で販売されていても問題ない。
ですが、仕入れた日付が「国際保証書(ギャランティーカード)」に記入され、消費者が購入した日と違ってしまうことも。

これは、商品に付いている国際保証書の話であって、並行輸入店が発行しているショップ独自の保証書のことではありません。
製造メーカーの保証と、購入店の保証は別ものです。

並行輸入店が謳う保証はショップの保証ですので、製造メーカーにショップの保証書を見せて、無償での修理を頼んでも仕方ありません。
ショップの保証期間内なら、ショップを通して修理などを依頼します。
保証している範囲は様々ですが、時計なら自然故障なら無償修理というショップが少なくないでしょう。

その際、修理に出された製品はショップ経由で修理業者、または製造メーカーに届けられます。
ショップの保証期間が過ぎている場合は、自分で修理業者を見つけるか、ショップ経由で有償修理に出すことになります。並行輸入品をはねつけるメーカーでなければ、正規店に持っていくのもありです。
この辺はブランドによって対応が違い、フランク・ミュラーやフォリフォリのように、並行輸入品を受け付けないところもあれば、ロレックスのように受け付けているところもあります。

外国語による説明

海外での販売を前提とした商品なので、日本語での説明は無いことが多いでしょう。
親切なショップであれば、和訳した文章を付けてくれることもあります。それが無くても、公式サイトにある日本語の説明で事足りることも少なくないはず。

それよりも、商品に対する考え方の違いに、戸惑うことがあるかもしれません。
商品は中身が大事なのであって、それを包装しているものが汚れていても気にしない。そんな国も少なくない気がします。
具体例を挙げれば、外箱は破れていても問題ないというパターン。
商品によっては箱は箱でまとめて、中身は中身だけでまとめて仕入れるケースもあり、新品なのに箱が無くて、もしくは汚れが酷くてアウトレット扱いということも……。

タグやシリアルナンバーの処理

たまに、商品のタグが削られていたというレビューを目にします。
その件に関して、ショップの説明欄に「タグやシリアルナンバーの処理について」と但し書きがあることも。

これは商品が偽物なので隠すための処理ではなく、仕入れ先を伏せるために行われます。
削っている部分で輸入業者、つまりは仕入れ先が特定できるので、伏せないと競合店に仕入れ先を奪われる可能性があります。
言ってしまえば、安く仕入れられた商品を買えば、安い仕入れ先がわかるので、時間と費用を使って開拓する必要が無いわけですからね。

ほかに、仕入れ先を伏せることは、製造メーカーへの配慮であるとしているショップもあります。

薬事法が絡む並行輸入品

「医薬品、医療機器等の品質、有効性及び安全性の確保等に関する法律(医薬品医療機器等法)」に関係する並行輸入品の場合、他の物より注意する点が多くなります。

以降は、化粧品を例に話を進めます。
化粧品の法的な定義については、昭和36年2月8日付け薬発第44号薬務局長通知「薬事法の施行について」をご参照ください。

まず、標準サイズのものを個人使用目的で、1品目24個以内であれば対象外ですが、販売目的の輸入は先の法律の対象となります。
国内で製造された化粧品や、国内での許可を取得した海外ブランドの化粧品を、製造販売事業者から仕入れて販売するのは、先の法律の許認可を必要としません。

しかし、海外から化粧品を直接輸入して販売するのは、国内の製造販売事業者と同じ業務をしているとみなされます。
なので、製造販売事業者の許可が必要となり、販売する製品に対する責任を負うことになります。ここで言う製造販売は市場出荷を意味する言葉なので、「製造」「販売」と分けて解釈してはいけません。

化粧品製造販売業許可や外国製造業者認定に関しては、「日本貿易振興機構(ジェトロ)」の「化粧品の輸入手続き」が詳しいです。
これから化粧品絡みの事業を行う人にとっては、各都道府県の許可申請の案内書的なものがわかりやすいでしょう。

こういった事情を踏まえ、何に気を付けるのかということになりますが、第一に「個人輸入をして売って儲けよう」と思い、気軽に手を出せる分野ではないということ。
第二に、並行輸入された化粧品ならではの事情があるということです。ショップによっては、次のような文章が説明欄に記載されています。

・商品や外箱に『製造販売元』と記載された成分表示シールが貼付されておりますが、化粧品の輸入許可を得た会社です。
・薬事法により並行輸入仕入商品は、輸入者が商品の検品を行うため、外箱を開封しています。
・デパート等で販売されている日本処方の商品と成分量が若干異なる場合があります。
・輸出元(海外出荷元)の意向により、ボトルパッケージなどにある管理番号が一部加工されている商品があります。

製造販売元の記載に関しては、先に挙げた事情によるものです。
検品に関しては、商標権における「商品の真正商品性」「内外権利者の同一性」「品質の実質的同一性」といった要件を満たす必要性も関係しているでしょう。
特に3番目の要件は、正規品と並行輸入品の品質が実質的に同一じゃないとダメなので、その確認が要るのかもしれません。成分量の違いに関しては、地域の違いによる微調整でしょうが……。
なお、日本の薬事法で化粧品として認められない成分が入っていると、本物であろうと輸入して販売することはできません。

まとめ

同じ商品でも、並行輸入品の方が安く買える場合があります。
ただ、海外での販売が想定されたものなので、説明書が日本語じゃないとか、日本で販売されているのと少し違う、仕入れの関係でタグが削られていることがあるといったデメリットが予想されます。

端的に言えば、細かいことを気にしないなら「並行輸入は安く買えていい」といった感じでしょうか。

下記リンク先は、Amazonの並行輸入品に関する説明ページです。書いている内容は当ページと被っていますが、Amazonでの購入を検討している人は、見ておいた方がいいでしょう。

⇒「並行輸入品について

更新日:

Copyright© ごぎょう , 2019 All Rights Reserved.