ポイント
宝石鑑定士は、宝石を見て価値を判断する人
宝石鑑定士の資格には、種類がある
GIAは米国宝石学協会のこと
GIAの基準は、日本のダイヤ判定基準になっている
GIAの資格には、種類がある
宝石鑑定士とは
宝石鑑定士は、宝石に関する知識を有し、鑑別する資格を持った人のことです。
国家資格ではなく、民間の資格になり、認定団体も複数あります。
具体的な名称を挙げれば、「GIAのグラジュエイトジェモロジスト (GG)」「JBSジュエリー鑑定士」「FGA(Fellow of the gemmological Association of the Great Britain)」など。
当ページでは、耳にする機会が多そうな「GIA」の資格に絞って話を進めます。
GIAって何?
GIAは、米国宝石学協会(Gemological Institute Of America)のこと。
ダイヤモンドの価値は、4C(カラット、カット、カラー、クラリティ)で決まり、それを証明するものに「ダイヤモンドグレーディングレポート(鑑定書)」があります。
GIAは、このダイヤモンドグレーディングレポートを出しているところの1つです。
他に、中央宝石研究所(CGL)、AGTジェムラボラトリーといった機関も出しています。
いろんなところが鑑定しているとなると、「団体によって、基準が違うのではないか」と危惧する人もいるでしょう。
実際、それが否めなかったのか、日本では 一般社団法人 宝石鑑別団体協議会(AGL)が設立されています。
AGLは1996年、ダイヤモンドグレードの基準の統一化を図るため、GIAの協力のもと、日本におけるダイヤモンド・マスターストーン(基準石)の原器を設置しました。
グレード判断の基準となるキー・ストーンです。
AGLの会員団体は、これを基準に鑑定していることになります。
逆に言えば、AGLに属していない団体の鑑定は、“そこだけの基準”という可能性があるわけです。
悪い例として有名なのは、子会社の鑑定機関に甘めの鑑定書を作らせていた「ココ山岡」でしょうか。
AGLはGIAの協力を受け、マスターストーンを設置しているので、日本のダイヤ鑑定の基準は、GIA基準に準じていると言えます。
それに加え、世界レベルでの権威と信頼度もあるので、宝石を取り扱う店舗では、GIA宝石鑑定士の資格がアピールされているのでしょう。
資格の取得と種類
GIAで学習する方法は2つあります。
「キャンパスでの教育」と「通信教育(eラーニング)」です。
「通信教育(eラーニング)」と言っても、修了証書を取得するには、世界のGIAキャンパスで提供されているラボクラスで、実践的な経験を積む必要があるものも。
キャンパスは、バンコク、カールスバッド、香港、ロンドン、ムンバイ、ニューヨーク、台北にあります。
キャリアパスとしては、以下の通り。
何を目指すのかによって、取得する資格や学ぶことを選ぶ感じでしょうか。
鑑定士
ジュエリーや高級時計を鑑定し、評価額を決定する仕事です。
関連プログラムは、グラジュエイトジェモロジスト(GG)、グラジュエイトダイヤモンド (GD) グラジュエイト カラーストーン(GCS) 。
デザイナー
ジュエリーをデザインする仕事です。
関連プログラムは、グラジュエイトジュエラー (GJ) 、ジュエリーデザイン、ジュエリーデザイン&テクノロジー、ジュエリーのための総合CAD/CAM。
バイヤー&小売販売・卸売業
バイヤーは、宝石や仕上げ済みのジュエリーを探す仕事です。
関連プログラムは、グラジュエイトジェモロジスト(GG)、グラジュエイト カラーストーン(GCS) 、グラジュエイトジュエラー (GJ) 、グラジュエイトダイヤモンド (GD)。
小売販売や卸売業だと、上記からグラジュエイトジュエラー (GJ) プログラムが減ります。
ベンチ ジュエラー
高級宝飾品を製造や修理をする仕事です。
関連プログラムは、グラジュエイトジェモロジスト(GG)、グラジュエイトジュエラー (GJ)。
その他
他に、ラボ・研究専門家、オークション専門家、製造業者、講師、裸石ディーラーなどがあります。
「アクレディテッドジュエリープロフェッショナル(AJP)」という短期集中コースもあり、5日間のプログラム内容は下記の通り。
ダイヤモンドエッセンシャル 2日間
カラーストーンエッセンシャル 2日間
ジュエリーエッセンシャル 1日間
まとめ
約130年間、「1kg」の定義に使われてきた国際キログラム原器の廃止が、ニュースになりました。
何事にも基準が無いと、評価がブレてしまいます。
宝石における評価の基準、そのスタンダートとしての価値が、米国宝石学協会にはあるのでしょう。
ちなみに、廃止されることになった国際キログラム原器は、合金製の1kg分銅です。
酸化などの化学変化や摩滅が発生すると、数値が変わることがあり得る代物。なので、微小なナノレベルの技術開発が進んだ今、誤差なく利用できる物理定数を基本にするから、もう分銅を基準にするのはやめようという話。
大昔には、肘の長さに由来するキュビットなる単位があったくらいなので、時と共に判定基準は変化していくものでしょう。
余談ですが、ダイヤの鑑定で「かさ上げ鑑定」があったと報道された「全国宝石学協会」のサイトには、検証作業の結果が掲載されています。
86.8%がAGLの再鑑定の結果と一致しており、弊社の組織的且つ一律のかさ上げがなかったことが明らか
引用元:全国宝石学協会